【6305】日立建機
(思惑関連銘柄・親子上場関連銘柄)
日立建機は日立グループの中核企業。油圧ショベルが得意分野の建設機械でコマツに次ぐ国内2位、世界でも3位に入る企業だ。日立製作所が50.2%と過半数の株を握る親会社となっている。
当サイトでは、度々日立グループの再編思惑を取り上げてきた。今一度その点を振り返ると、日立はIoT事業「ルマーダ」を軸に資本効率の高い高収益企業への変貌を狙っている。コングロマリットゆえの収益性の低さから脱却するのが目的だ。基本的に旗艦事業に据える「ルマーダ」と親和性の低い企業の売却を進めており、特に営業利益率が10%に満たない場合は売却している。かつて御三家と呼ばれた、日立金属・日立電線・日立化成も聖域とせずこの施策を進めている。
それでは、日立建機を振り返ってみよう。日立建機の営業利益絵率は前期で7.8%であり、コロナ禍に見舞われた今期は4.6%まで低下する予定となっている。勿論、今期は特殊な要因であるが、来期も6.7%にとどまる見込みとなっている。オリンピック需要などが旺盛であった17年・18年でようやく営業利益10%なので、今後もこの利益水準を保てないと判断された場合は売却の対象となる可能性がある。
他方で、現在建設業界では無人化が進んでいる。清水では大型クレーンをAIで動かす事業を行っているし、日立建機も油圧ショベルの自動化実証を始めている。これらの先進的事業はルマーダとの親和性が低い訳ではないし、実際建設機器のICT活用はルマーダのユースケースでも示されている。今後、この事業が伸びるという事であれば、売却の候補から外れるかもしれない。とはいえ、ICT活用の生産効率・機械稼働率の管理は建設機械販売・レンタルの主要因ではないので、やはり建機の売却の可能性は高いと見ている。
さて、それでは売却前提で考えていくとしてその価格はいくらになるのか。日立キャピタル(8586)の際は、売却ではなく株式交換となり投資としては芳しくなかったが、これは事前に一部売却していた為であり、今回は売却になると考えられる。基本的には75日移動平均線から30%程度のプレミアムと考えて良いだろう。現在、同線は3474円、30%プレミアムで4500円程度となる。TOBともなれば現値からでも妙味ある展開となる。
とはいえTOBが確定している訳ではない。あくまでも日立のグループ再編にかけた投資となる。足元の株価がこれ以上下落しないとの確証はない。そのため、できるだけ75日移動平均線との乖離がうまるような場合に投資するのが良いだろう。折しもアメリカ市場が不安定であり、株価的にも差し込む場面があると思う。下がったときに買えばそれだけ勝率は高まる事になるので、下げたときに買えるように頭の片隅にでも入れておいて欲しい。
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