【4367】広栄化学工業
(室効果ガス削減関連銘柄)
広栄化学工業は住友化学系の窒素化合物メーカとして祖業。現在は精密化学と呼ばれるファインケミカルの製造販売を行う会社だ。ファインケミカルとは医薬品などで使われる加工度や付加価値の高い化学製品の事を指す。
同社の精製する化成品は主に医薬品や農薬、電子材料やイオン液体などに使われる。現代社会で必須なものばかりであり、その需要の堅調さから業績は安定している。
5月にはアビガンやレムデジビルなどの新型コロナウイルスワクチンの製造に同社の精製する化成品が使用されている事から思惑買いが入り、ストップ高5連騰となった事で目にした事のある人も多いのではないだろうか。
アビガンなどが米当局から緊急仕様許可がだされるなど、ワクチン開発の需要は高く、今後も堅調な需要が見込めるだろう。直近では、ウレタンを低温硬化できる触媒の開発をしたとして人気化している。同触媒を用いる事で塗装ラインの省エネに繋がり、また鉄板樹脂一体の塗装への道が開けると自動車塗装などでの需要拡大が見込まれる。
今回は同社の高い化成品技術の中からCO2(二酸化炭素)吸収剤としてのイオン液体に注目したい。先日、菅総理は欧州・中国と足並みを揃える形で「2050年までに温室効果ガス排出0を目指す」とした。温室効果ガスの排出が高いものには自動車の排ガスが含まれる。その他、電力などのエネルギーを生成するためにはタービンを回す必要がある為、火力発電なども多い。この排出は石油石炭などを用いた内燃機関ではどうしても起きる問題であるが、この排出を削減する取り組みとしてはイオン液体の活用がある。
同社のホームページにも次のような記載がある。「二酸化炭素(CO2)は、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの1つです。イオン液体は蒸気圧が低くガス相へ溶出せず、幅広い温度範囲で利用でき、難燃性のため安全であることから、“イオン液体を利用した燃焼排ガスからのCO2分離回収プロセスの開発”が進んでいます。」
つまり、今後の市場のテーマとして温室効果ガスの削減が注目された場合に、同銘柄は物色の候補となる可能性がある。勿論、その他銘柄にも温室校ガスの削減の候補となる銘柄はあるが、同社株は過去の急騰から知名度が比較的ある事や、急騰から半年経過して信用整理も進んでいる。注目が集まれば値を飛ばす可能性があるだけに、今後に注目しておきたい。
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